撮りたての鳥

 粟島2010 その1

 ヶ瀬野鳥クラブの鳥仲間との粟島行きも何回目だろうか。もう恒例となっている。今年は、5連休の最終日は休養日として、5月1日から4日までの3泊4日の日程で出かけた。

 不安だった天候も回復。はやる気持ちを抑えて、途中2度の休憩を入れたにも関わらず、日本海東北自動車道が神林岩船ICまで延伸されたこともあって、最初の目的地「お幕場池」には例年より1時間ほど速く到着した。

 そこで驚いたのが、水面に浮かぶコハクチョウの群れ。300羽ぐらいいたのではないだろうか。毎年ほぼ同じ時期に訪れていて、これまではせいぜい4〜5羽が残っていた程度。北帰が遅れているのだろうか。確かに季節の進行も遅れているようで、池の周辺の桜が満開になっている。

 そうなると心配なのが渡りの小鳥たちの動向だが、林の奥へ進んでいくと,オオルリの姿があり、キビタキの声も聞こえてきたのでひと安心。

お幕場池
コハクチョウ コハクチョウ飛ぶ

 船港からの高速船「飛鳥」は無事定刻の午前9:00に出港。乗客は思いの外少なかった。後でわかったことだが、粟島の島開きの催しは5月2日、3日の日付で行われるそうで、それは今年のように1日から5連休になっても変わらず、島開きを目的にする観光客は翌日に来島するらしかった。そんなこととは関係なく、船は時速40kmほどのスピードで航行する。この日は白波こそ立っていなかったが細かいうねりが船を揺らし、手すりにつかまっていなければ立っていられないほどで.デッキに出ていた客はわずか。海鳥もほとんど見られなかった。

 浦港では民宿の出迎えの車に荷物を載せ、歩いて民宿へ。出されたお茶を飲むのももどかしく、メンバー7名全員が身支度を終えてそれぞれ鳥見に出発した。というのも、前日に民宿から鳥情報の連絡があって、みな浮き立っていたからだ。その情報を頼りに探すこと5分。お目当ての鳥を発見した。クロジョウビタキ。船を下りてからわずか30分後のことである。
クロジョウビタキ

 1995年春に、東海岸のゴミ処理施設に現れたというクロジョウビタキ。私は1993年に初めて粟島に行き、翌1994年にも行っているのに、1995年は浮気をして飛島に行っていた。そのときにチャキンチョウに出会うことができたので、飛島行きを後悔しているわけではないのだが、このクロジョウビタキのことは喉に刺さったトゲのようにずっと気掛かりになっていた。

 それから15年。やっと出会うことができた。前日の4月30日に見つけられたそうだが、即時に連絡をくれた民宿の由美ちゃんに感謝、感謝である。視認された場所まで報せてくれたその情報がなければ、こうもあっさりと見つけることはできなかったかもしれない。

 なぜなら、クロジョウビタキがいたところは、普段なら通り過ぎてしまうような、県道に面した小さな畑だったからだ。通りがかったときにいてくれればすぐにわかるような場所だが、タイミングが悪く、予備知識もなければ目もくれなかっただろう。少し写真を撮って、すぐに同行のメンバーに連絡を入れる。みな押っ取り刀で集まってきた。

クロジョウビタキ クロジョウビタキ

 この個体は中国中西部に分布する亜種らしく、以前ヨーロッパで見たクロジョウビタキとは異なっていた。上の画像にマウスポインタを重ねるとポルトガルのナザレで撮った♂のクロジョウビタキが表示されるが、ヨーロッパ南部の亜種には三角形の大きな白斑が見られ、下面もオレンジ色ではない。

 それはともかく、このクロジョウビタキは1日の夕方には姿が見えなくなっていたが、それまでは、小さな畑の杭にとまったり、野菜屑を入れるゴミ箱のコンクリート壁に降りたり、飛んでいったと思うとすぐそばの学校の前庭のヤエザクラの枝にいたりと、いろいろな場所でサービスをしてくれた。

 島に入ってすぐの出会いがこの鳥である。これからの4日間でどんな鳥が出るか、期待が高まる。

クロジョウビタキ

オオルリ

 がたくさん集まってきたのを潮に、港の先の水場に移動する。途中の桜の枝でオオルリを撮る。この辺りの桜は例年ならもう散っているはずだ。水場に行ってみると、様変わりしていて驚いた。崖が崩れて倒壊した木の枝を切ったらしく、水場が木の枝で埋もれていた。水場を日陰にして目隠しをしていた木だったので、鳥の姿もほとんどなく、キビタキが1羽ウロチョロしているだけだった。

 水場で鳥の出を待つのをあきらめて戻る途中、弁天の芝生でマミチャジナイを撮る。この鳥がいると渡りは順調だなと安心する。

 すぐそばではアトリが地面に降りて、マツボックリをつついていた。季節の遅れを象徴するように、アトリはやたらに多い。

マミチャジナイ アトリ

 校の校庭には何もいなかったので、裏の畑に行く。目の前からツツドリが飛び立つ。少し先の木の枝にとまったが、すぐに別の木に飛んでしまった。畑にはチュウサギもいた。飾り羽根が風になびいて美しかった。
ツツドリ チュウサギ
オオルリ

 にはアトリやカワラヒワ、カシラダカ、アオジなどがいたが、一番目についたのはオオルリだった。

 畑でオオルリというのは何か変だが、渡ってきてまだ間もないオオルリたちは林に入らず、畑に点在する木にとまって餌を摂っていることが多い。

 下の2枚の写真は、構図はほとんど同じだが写っているのは別の鳥。光線の具合だけではなく、左の鳥のほうが翼の青が濃い。

 左の鳥が毛虫をくわえてとまっているところを撮っていたら、突然飛び立った。あっと思った直後、右の鳥が毛虫をくわえてファインダーに入ってきた。追い出した格好である。すぐそばには♀の姿もあり、別の場所で1本の木に3羽のオオルリがとまっているのも見た。メンバーの話では、1本の木ではなく、1本の枝に3羽並んでとまっているのを見たそうだ。

オオルリ オオルリ

ノロッコ号と出会う

 島初日の夕食時、クロジョウビタキを肴に盛り上がったのは言うまでもない。

 相変わらず食べ切れないくらいの夕食のおかず。鯛の塩焼き、煮魚はクロムツ、ブリの刺身(もちろん粟島で獲れたばかり)、イカのリングフライ、この食卓で海と関係がないのは山ウドくらいで、粟島産でないのは醤油くらいか。


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