North Island 2 ロトルア……ワイトモ……オークランド

野ウサギ 島の鳥見が予想よりもうまくいきそうだと思ったのに,ロトルアでの宿泊は1泊のみ。朝のうちにバスに乗ってワイトモを経由,成田への飛行機が飛ぶオークランドに移動する。もう鳥見は期待できそうもない。

 物をドアの外に出してから,朝食までの間,昨夕の海岸に出かけた。ホテルの芝生の上には2羽の野ウサギがいて,こちらの姿を見ると草をくわえたたまま耳をピンと上げ,面倒くさそうに薮のほうに小刻みに跳んでいった。ロトルアは朝から生暖かい空気に包まれていた。

 岸に出ると,始めのうちは木道を歩くことになる。下の岩場は平坦だが,温泉の吹き出し口があるので,危険だからだ。もっとも,クロウタドリがやはり気だるそうに現れただけなので,すぐに引き返す。林のほうを見たほうがいいかもしれない。

オーストラリアセイタカシギ  と,視界の隅に動くものを感じた。30mほど離れたところに,黒と白のツートンカラーが見えた。脚が長い。オーストラリアセイタカシギ(Pied Stilt)だ。

 にしているのは80〜400mmのズーム。テレコンを入れてあるので560mmになるが,手持ちでは自信がない。できるだけ近いところで撮りたい。幸い,シギと自分との中間辺りに枯れたブッシュがあるので,まず,シギからは陰になるように横移動,それからシギに向かって静かに前進した。

 回の旅行では,湖には縁があるが,海辺はほとんど訪れない。シギ・チはまず無理だろうと思いかけていたので,このチャンスは逃したくない。ブッシュの陰からそっと身を乗り出し,シャッターを切る。これがニュージーランドの鳥の最後の写真になるかもしれない。

 トルアを離れたバスは,一路ワイトモ洞窟へ。鍾乳洞に生息するツチボタルを見るためである。

 着したワイトモ洞窟に入る直前に,入り口手前の林の中にファンテイルがいるのを見つけた。暗い鍾乳洞の中には鳥はいないから,できればこのまま外にいたかったが,そうもいかない。泣く泣く地下に潜っていく。はじめは鍾乳洞の見学で,鍾乳石や石筍は日本の有名な鍾乳洞のものと比べるとかなり見劣りする。歩いていった突き当たりの天井にツチボタルが現れる。照明によってツチボタルが獲物を捕らえるための糸がぼんやり浮かび上がる。これは序の口で,その後,ボートに乗って地下水路を行くと,無数の青白い光が天井を埋めつくすようになる。その下をボートがくぐっていくと,たくさんの糸のせいで青白い光がゆらめいているように見える。確かに幻想的な光景だ。ただ禁止されているので写真は撮れない。もっとも,揺れ動くボートからでは写真にならないだろうが……。

 窟を出ると,すぐにファンテイルを探したが,だいぶ遠くに行ってしまった。間には地下水路に続く川があるので,どうしようもない。

 ークランドに向かう国道1号線脇のドライブインにバスが入る。ドライブインの裏側は幅50mくらいの大きな川になっている。対岸には工場が並んでいるが,川岸には樹木や草木が茂り,生き物の気配が濃厚に感じられた。途中,岸から伸びた木の枝に何かしら鳥が止まっているのも見えていた。

 れから向かうオークランドは,ニュージーランド一の都会だ。ここで鳥を見逃したら,もうチャンスはないかもしれない。そんな気持ちで岸に近づいていった。一ヶ所,草が途切れて川がよく見える場所があったが,そこには先客がいてカメラを構えている。鳥を探している風ではなかったが,人がいては鳥もいないだろうと,そこをあきらめて下流側の草刈りをしたばかりの広場に向かった

ヒジリショウビン 場に足を踏み入れてすぐ,川岸に近い木の高さ4mほどの横枝に,鳥がとまっているのが見えた。その姿から,遠くから見てもすぐにカワセミと分かった。ヒジリショウビン(New Zealand Kingfisher or Sacred Kingfisher)だ。マオリ語だと思うが,Kotareともいうらしい。

 ずは,遠くても1枚撮っておく。撮らずに近づいて逃げられたら何も残らない。それに苔のついた枝の雰囲気もいい。

 かし,この距離では細部が分からない。そっと近づく。こういうときは,なるべく小さな動作で鳥に向かってまっすぐ進むほうが逃げられる率が低い。なんとか,半分の距離まで詰めることに成功した。

 ころが,気配を察したか,ヒジリショウビンは少し先の枝に飛んでしまった。手前に小枝のある場所だが,逆に背中の色が見えるようになった。また,同じくらいの距離まで近づく。

ヒジリショウビンヒジリショウビン

ヒジリショウビン 後に,順光側からとっておきたいと,正面に回り込む。この場合は一度斜めに遠ざかってから近づいたほうが気取られない。

 まくいって,飛ばさずに正面側に回り込み,しかもさっきより近くまで寄ることができた。惜しむらくは,もうかなり陽が高く,頭の上のほうから光が当たっているので,目が良く見えない。しかし,姿を捕らえただけでも満足しなければいけないだろう。なにしろ,行き当たりばったりなのだから。

 スの集合時刻が近づいてきたので,そこを去ることにした。幸い,ヒジリショウビンを脅かさずに済んだと見えて,広場を出るときにツアーのメンバーに会ったので,「ニュージーランドのカワセミがいますよ。」と教えたら,バスに戻ってきたときに「まだ枝にいて見られました。」と言っていた。

 食後,家族そろって,ホテルのあるダウンタウンから対岸に見えるデヴォンポートに行くことになった。妻が夕焼けを見たいというのである。泣く子と何とかには勝てぬ,ということで腰を上げる。

 午後8時!の連絡船は,スカイタワーのあるダウンタウンを後ろに見ながらクィーンズ埠頭から出港。20分ほどでデヴォンポートのスタンレーポイントに着いた。下の写真右の一番左に見えるマウント・ビクトリア・リザーブという丘から見るのだという。

オークランドデヴォンポート

 といってもれっきとした休火山。オークランド市内にはこういった休火山がたくさんある。しかし,高さ100mもない山でも直登はきつかった。そしてせっかく登ったのに,肝心の夕焼けは太陽が雲に隠れてしまい,この程度。収穫は,日が沈むと同時にあちらこちらからたくさんのクロウタドリが出てきて(大げさのようだが,10m歩く間に5〜6羽見るくらい),おまけに少し大きい鳥がクロウタドリのいるところに突っ込んで追い払ったと思ったら,それがTUIだったこと。鳥は期待していなかったのでそれしか持っていかなかった24〜80mmレンズでストロボを使用して撮ったら,なんとか写っていた。午後8時53分に撮影。南島に比べて北島は日の暮れるのが早い。

夕焼けエリマキミツスイ

 れが,今回撮った鳥の最後の写真。翌日はオークランド空港から成田に飛ぶだけ。鳥三昧とはいかなかったが,鳥のことしか考えなかった旅行もこれで終わりである。

 ウンタウンに向かう帰りの船上から,この旅行初めての南十字星が見えた。

・・・・・・次はまとめ・・・・・・