South Island 1 クライストチャーチ

 田空港でNZ090便の離陸が1時間遅れたにもかかわらず,クライストチャーチには翌朝,定刻より少し早く到着した。しかし,成田での買い物がたたってしまった。税関で引っ掛かってしまったのだ。安さにつられてたばこを2カートン買ったのだが,ニュージーランドでは200本を越えた分について税金がNZ$62かかると言われた。NZ$1が約80円としてほぼ5000円!割引券を使って1カートン1500円で買ったのに?結果的には家内の分ということにして放免してもらったが,大分時間を費やしてしまった。

 んとか空港を出ると,バスに乗り込んでクライストチャーチの市内観光へ。午前着の便なので,ホテルのチェックインまでの時間調整が必要なのだ。まず,一般家庭に行き,家の見学と昼食。ツナサンドとケーキ,コーヒーの軽い食事を済ませると,ただ一人外に出て,出発までのわずかな時間だが,すぐそばを流れる小川の岸で鳥見。市内とは言え,まるで別荘地のような地域で,川の岸にはいろいろな樹木が生い茂っている。そこでは,イエスズメ(House Sparrow),クロウタドリ(Blackbird),ウタツグミ(Song Thrush),ベニヒワ(Redpoll)を見る。なんのことはない。みなヨーロッパからの移入種だ。1羽だけ,黒っぽいヒタキのような鳥がいたが,なんだか分からない。確かめたかったが,時間切れ。バスの出発時刻である。

クロアカツクシガモ  に立ち寄ったモナ・ベイル(Mona Vale)は,由緒あるビクトリア朝の豪邸だが,元は個人の所有地だったのを市で買い上げ,現在は公園になっている。その中を歩いた。遊歩道の横を流れるエイボン川にはGrey Duck(マミジロカルガモ)が泳いでいた。カルガモとは嘴の配色が違うが,日本の公園のと同様,マガモとのハイブリッドが多くて,なんだかよく分からない。ほかにはイエスズメとクロウタドリくらいしか見かけない。

 合時刻近くになって,バスに向かって歩いていくと,駐車場の歩道の上に,ちょっと変わったカモがいた。オカヨシガモを黒くしたようなParadise Shelduck(クロアカツクシガモ)だった。逃げないので,写真を撮る。本来はつがいでいるらしいが,♂のみ。♀も探したかったが,後ろ髪を引かれつつバスに乗り込む。

大聖堂広場  スは市の中心部へ。大聖堂の近くでバスを降りる。

 本で「市」といえば,人口が5万以上で人口の6割が市街地に居住,ふさわしい施設があるというのが条件だが,ユニオン・ジャックを国旗に戴くニュージーランドでは,大聖堂(カテドラル)がなければ市の条件を満たさない。つまり。市の中心はこの大聖堂だということになる。

 リスマス休暇に入ったクライストチャーチの市民は,この大聖堂広場にたくさん繰り出していた。

アカハシギンカモメ  聖堂の近くでガイドの説明を聞いている最中に,上野公園のドバトのように,観光客にえさをねだるカモメの姿が目に入る。くちばしと足が赤くて,その大きさと雰囲気がユリカモメに近い鳥だが,目の周りが赤い。Red-billed Gull(アカハシギンカモメ)だそうだ。頭は黒くならないらしい。ツアー一行が免税店に入っている間,写真を撮ったが,絵にはならない。何枚か撮って,免税店へ戻る。そこから歩いてほどなく,ホテル GRAND CHANCELLOR に到着。荷をほどく。

 て,夕食まではまだ間がある。市内を観光する家族と別れ,郊外のWillowbank Wildlife Reserve に行くことにした。もう午後3時に近かったが,まとめて時間をとれるときはほかになし,午後9時頃までは明るいというので決行する。タクシー乗り場は,ホテルから歩いて5分ほどの大聖堂の前にあるという。途中の本屋で図鑑を買う。以前に土産でもらった図鑑を家に忘れてきてしまったからだが,幸いコンパクトだが内容的には家にあるのより豊富な図鑑があったので,NZ$24.99 で購入。約2000円なり。タクシー乗り場に向かい,運転手に行き先を告げて出発した。

 Willowbank Wildlife Reserve には午後3時30分に到着。タクシー代はNZ$27,2000円ちょっと。運転手に午後6時30分ごろに迎えを頼んで下車。入り口を入って,「チケットはどこで買うのか。」と尋ねようとすると,そこにいたスタッフは若い日本人女性。ホッとするやら気が抜けるやら。ともかく,NZ$15を払って入場しようとすると,「今日は午後5時までで閉まります。」唖然とするが,しかたがない。園内1周は30分から1時間だと聞いて,急いで観察路に向かった。

ウタツグミ  のWillowbank Wildlife Reserve は,平たく言えば「動物園」である。時間があれば,市内のよさそうなところを歩いて野生の鳥を探すのだが,初めての土地では効率が悪い。そこで,土地の鳥に慣れるという意味と,鳥の場合,動物園のえさを狙って外から野生の鳥が入り込む可能性が高いという経験則から,まずは手始めにという感じである。

 るり1周して,見ることができた野生種は,イエスズメズアオアトリクロウタドリ,そしてウタツグミ(写真右)に,ハイムネメジロ(Silvereye)だった。しかし、写真はあまり撮れなかった。というのも、昔のニュージーランドの原生林を模してあるので、暗く、低速シャッターになってしまい、せっかく撮ったのも ブレたものばかり。少し気落ちしながら,午後5時丁度にエントランスを出た。

 あ,どうしたものか。1時間半待つにしても,周りに店はなし,もちろん自販機などないから,とりあえずミネラルウォーターを買いに戻る。3$なり。すると,レジの日本人女性スタッフが車を呼びましょうかと声をかけてくれたが,タクシーに来るように言ってあると遠慮する。と,奥にいた日本人男性スタッフが送ってくれると言う。申し訳ないので断ろうとしたが,結局,外にいたイギリス人男性2人とともに大聖堂まで乗せてもらうことになった。

 中で伺うと,アベさんというその人は,何度かニュージーランドを旅するうちに,ニュージーランド人の友人に誘われて,7年前に思い切って移り住んだそうだ。それから職を転々としながら,今はWillowbank Wildlife Reserve のスタッフとして働いているという。勇気があるなあと感心。自分ならまず決断できないだろう。大聖堂の近くまで送ってもらい,何かお礼をというと,いいですよ,と言って行ってしまった。感謝,感謝である。

ウタツグミ  食まではまだ時間があるが,とりあえず戻ろうとすると,方向を間違えて芝生の公園に出てしまった。そこには小さな噴水があり,カモメが水浴びをしていた。アカハシギンカモメだ。

 コンクリートの上よりは水をバックにしたほうがカモメらしいので,写真を撮る。ついでに,翼を広げたところも撮りたかった。図鑑によると,ニュージーランドにはハシグロカモメ(Black-billed Gull)というよく似たカモメがいるので,どこが違うのかを知りたかったからだ。

 飛んでいるところは難しく,苦労の末,なんとか1枚撮る。ほっとしてベンチに座っていると,若い東洋人女性がシャッターを押してほしいと英語で話しかけてきた。もちろん,快くOKする。その後少し話をすると,韓国からひとりで旅行に来たという。一人旅は怖くないの?と尋ねると,平然としていた。英語が堪能だからかもしれないが,ここでも感心。若いってすごいなと思うが,自分が若いとき,同じことができただろうか。(もっとも,そのころ海外旅行なんて夢のまた夢,北海道一人旅がせいぜいだった。)

 韓国の女の子が「よい旅を」と言って去った後,アカハシギンカモメの若鳥の写真を追加した。

アカハシギンカモメ飛翔アカハシギンカモメ若鳥

 公園の芝生には,ほかにも鳥がいた。ホシムクドリとクロウタドリとイエスズメだ。

 シムクドリは,1882年にヨーロッパから移入されたそうだが,今では一部の地域を除いて全土に勢力を広げている。
 芝生に降りていたのは小さな群れだったが,中に幼鳥もいた。ニュージーランドではちょうど繁殖期なのだ。そういえば,イエスズメも,マミジロカルガモも,みな子連れだった。この幼鳥が親らしき成鳥の後をトコトコついて歩くのは可愛らしかったが,移入種であることを考えると,その増加は問題だ。

ホシムクドリホシムクドリ幼鳥

 の公園の芝生はビクトリア広場というのだそうだが,その横には先のエイボン川が流れていた。パンティングと呼ばれる船遊び(ヴェニスのゴンドラをチープにしたようなもの)の小舟が,観光客を乗せて往来する。そこにはマミジロカルガモよりずっと小さい黒っぽいカモが数羽泳いでいた。いや,泳いでいたというより「潜っていた」というほうが近いかもしれない。

ホシムクドリ モの正体は,ニュージーランドスズガモ(New Zealand Scaup)という潜水ガモだった。
 スズガモといっても,日本にいるスズガモよりひと周り小さい40cmくらいの大きさ。
 ♀と幼鳥は岸のそばにいたので写真が撮れたが,♂は対岸の樹木の下の薄暗いところを泳ぎ,さらに頻繁に潜っていたので,写真は撮れなかった。透き通ったエイボン川では,潜った♂の姿がよく見えたが,その潜りの様子や潜水時間の長さはまるでカイツブリのようだった。

 岸には,ほかに,クロウタドリ,イエスズメ,ウタツグミ,アオカワラヒワなどが現れた。
 そして,ひときわ大きいカモメが1羽。どうやらミナミオオセグロカモメ(Dominican Gull)の若鳥らしい。にぎやかなアカハシギンカモメと違い,いつの間にか現れ,また静かに去っていった。

ミナミオオセグロカモメクロウタドリ

・・・・・・次はSouth Island 2・・・・・・