VENEZIA

 スでミラノからヴェネチアに向かう。バスは比較的新しい車両で,ドライバーも丁寧な運転をしてくれて乗り心地もよいが,鳥のほうは車窓から眺めるだけなので,悔しい思いが続く。特に,高速道路と農地との境のフェンス……といっても,高さ1mほどの杭だが……にとまっている猛禽を見つけたときは,そのたびに「バスを止めてくれ!」という叫びを押しとどめるのが大変だった。

シラコバト

 途中立ち寄ったサービスエリアは日本の高速道路でいえば,パーキングエリア程度の大きさだった。コンビニくらいの売店とガソリンスタンドだけがある。道のりの長さを考えて,売店で飲み物とガムを買い,早々に表に出て鳥を探す。

 スズメとクロウタドリとヨーロッパコマドリは,すぐ目につく。ほかの鳥はいないかとGSのほうに歩いていくと,頭上を2羽の大きめの鳥が飛んだ。行き先を確かめる。もしかしたら,先ほど農地に降りているのを見かけた灰色のカラスかもしれない。

 しかし,正体はシラコバトだった。シラコバトは埼玉県の鳥になっているが,ルーツを訪ねたというところか。一応記念写真を撮る。

 エリアの外側にあるブドウ畑には,まだほかの鳥が動いていたが,正体を確かめる間もなく出発となった。せめて,やはり途中で見たカササギでも飛んでくればよかったのに……。

 ェネチアでは,おきまりのゴンドラに乗っての観光。初老の歌い手のカンツォーネもアコーディオンの演奏もなかなかのもので楽しめたが,同時に街中に樹木の少ないのがわかってガッカリもした。運河にはハジロカイツブリが何羽か浮かんでいた。

ヨーロッパコマドリ

 ンドラから上がった後は,市内観光となった。サンマルコ寺院などの建築物や街並は見ごたえがあるが,ハトとスズメしか見えないのではおもしろくない。しばらくして買い物タイムになったので,観光中に見つけた運河沿いの小公園に行くことにした。

 小公園の入り口でスズメを撮る。おもしろくはないと言っても日本のスズメとはすこし違うからだ。

 図鑑には Passera d'Italia とあって,学名は Passer domesticus italiae となっている。つまり,イエスズメ Passer domesticus のイタリア産亜種であって,イタリアイエスズメというところだろうか。イエスズメと違うのは頭部が灰色でなく茶色いところ。イエスズメと日本のスズメの中間ぐらいの姿形である。写真の個体はまだ少し若いようで,成鳥なら胸の黒がもっと広範囲になるようだ。

クロウタドリ 公園は小学校の体育館程度の広さしかなかったが,クロウタドリとヨーロッパコマドリがよく見られた。といっても個体数が多いわけではなく,人馴れしている鳥が何度も出てくるようだ。

 もう黄昏が迫っていて,写したヨーロッパコマドリはほとんどブレていた。クロウタドリは少し明るいところにも出てきたので,何枚か写したが,その中に雌の写真が1枚だけあった。雌は全体が茶色っぽく,雄に比べればどう見ても地味だ。これ1羽だけを見たら,クロウタドリだとは思わなかっただろう。

 雄が身を低くして雌を追いかけるという,求愛行動らしい仕草も見られたが,写真のほうは薄暗くてとても撮れる状態ではなかった。

次はサン・マリノ


イタリア雑感3
カンツォーネ アコーディオンの伴奏に乗せて朗々と歌うカンツォーネ。ベネツィアのゴンドラに同乗した歌い手はもう現役をリタイアしたプロが趣味と実益を兼ねて歌っているとのことだったが,間にアコーディオンのみの演奏を挿むとはいえ,何曲も続けて運河に響き渡るほどの声で歌っても声が嗄れないというのは流石。ゴンドラにカンツォーネとは月並みだな,と思っていただけに,感心してしまった。
水の都 ベネツィアはもちろんベニスのこと。水の都ベニスとはよく聞くが,交通の手段が船しかないとはまさにその名の通り。地盤沈下で,海水に浸ってしまうというのも,水の都ならでは。それを防ぐための方法を模索中だとか。我々のツアーの数日後には,海面が上がって観光客が行けなくなったそうだ。街のあちこちにベンチのようなものが積み上げられていたのが,水が増えたときの渡り廊下にするためのものだと聞き,その光景を見たかった気もする。不謹慎かな?