埃及鳥見紀行のまとめ

エジプトの地図  「物見遊山」というよりは,「牛に引かれて善光寺参り」的なエジプト旅行でした。例によって,あまり気乗りしなかったのですが,結果的には鳥見のほうはまあ満足できたというところです。

 中東情勢,とりわけイラク関連の成り行きがどうなるかも心配でした。行きに1時間よけいに時間がかかったのは,西風のせいというよりも,中東上空を避けてカスピ海の近くを通っていたのが原因らしく,帰りの飛行機では離陸してすぐに乗務員がすべての窓を閉めて回ったのも不安を募らせてくれました。

 それはともかく,今回も,日本は敗けているなあと感じました。もちろん,鳥に関してです。国土の90%以上が砂漠ですよ,エジプトは。鳥なんかそうはいないと思うじゃありませんか。ところがどっこい。緑と水があれば,鳥はたくさんいたのです。街中でも。

 ナイル川の氾濫がもたらした肥沃な土壌がエジプト文明を生んだのでしょうが,諸行無常,文明は滅びました。今はイスラム国家の中心的な存在になっていますが,アスワンハイダムの建設など,古代のピラミッドに劣らない大工事をやってしまうところなど,アラブ人のスケールの大きさに圧倒されます。それが,いま,砂漠を突き抜ける道路や,砂漠の中の新市街造りにもつながっているように感じました。

 しかし,開発が進むと逆に緑が増えているようなのです。道路の脇や中央分離帯には植栽が進められていますし,新しい町ができると同時に緑地帯も広がっているようです。農地を広げても,もともと林が野原があったわけではなく,作物に与える水を供給することによって雑草なども増えているようなのです。(ちなみに,目に見えて進んでいる緑化はムバーラク大統領の奥さんが推進しているそうです。国家プロジェクトなんです。)もちろん,川にゴミがたくさん捨てられていることから,いずれは公害問題に発展すると予想されます。また,アスワンハイダムの出現による気候変動も起きているようで,これから起きる問題も予想されています。しかし,人間が生活している範囲の鳥の濃さは日本と比べ物になりません。

 さて,数はともかく鳥の種類のほうは,最初は見慣れたものばかりいるなあと,ちょっとがっかりしました。アフリカ大陸にありながら,鳥の相はヨーロッパ,ひいてはユーラシア大陸の系統だったのです。日本の鳥と重なる種もいます。それでも微妙な違いを見つけたり,共通点を見つけたりするのも楽しいもので,ここならこんなのがいそうだなどど推測する面白さもありました。

 エジプトはかつてイギリスの統治下にあったにも関わらず,バードウオッチングはあまり盛んではないようです。イギリス的なものを全て否定しているわけではなさそうですから,そんな余裕はないよということかもしれません。鳥はたくさんいるのに,それを興味をもって見ているのは,おそらく研究者やごく一部の人間だけなのでしょう。この旅行の中では,「鳥を見る」「鳥の写真を撮る」ことに対して関心を寄せる人には出会いませんでした。(過去の日本もそうだったかもしれませんが,そんな時代のほうが鳥が多かったというのも皮肉な話ではあります。)

 今回も行った先で図鑑を仕入れようと考えていたのですが,なかなか本屋に行く機会がありませんでした。また,ガイドの話では,普通の街角にある本屋に置いてあるのはイスラム教関係の本だけだそうです。カイロのダウンタウン辺りの大きな本屋で探せばあるかもしれない,と言われました。結果的にはホテルの本屋にあったので助かりましたが,外国に行ったときには大きなホテルの本屋を探すのが手っ取り早い,という教訓を得ました。(ヒルトンは英国系なので,鳥見に訪れる英国人のために置いてあるのかも……。価格は,写真版英語表記の「BIRDS OF EGYPT AND THE MIDDLE EAST」が50LE,イラスト版英語アラビア語併記の「Common Birds of Egypt」は30LEでした。1500円と900円。安い!)

 以下に,エジプトの鳥見の結果をまとめてあります。リストは一応見た鳥,カメラマークは「物見遊山的埃及鳥見紀行」の中に写真を載せたものです。

エジプトで見た鳥

学名英名和名学名英名和名
Egretta garzettaLittle EgretコサギUpupa epopsEurasian Hoopoeヤツガシラ
Ardea cinereaGrey HeronアオサギGalerida cristataCrested Larkカンムリヒバリ
Ardea purpureaPurple HeronムラサキサギHirundo rusticaBarn Swallowツバメ
Bubulcus ibisCattle EgretアマサギHirundo obsoletaPale Crag-Martinウスチャイロツバメ
Ardeola ralloidesSquacco HeronカンムリサギMotacilla albaWhite Wagtailタイリクハクセキレイ
Milvus migransBlack KiteニシトビPycnonotus barbatusGarden Bulbulアフリカヒヨドリ
Falco tinnunculusCommon KestrelチョウゲンボウLuscinia svecicaBluethroatオガワコマドリ
Gallinula chloropusCommon MoorhenバンPhoenicurus ochrurosBlack Redstartクロジョウビタキ
Porphyrio porphyrioPurple GallinuleムラサキバンOenanthe leucopygaWhite-tailed Wheatearシロガシラクロサバクヒタキ
Vanellus spinosusSpur-winged LapwingツバメゲリPrinia gracilisGraceful Priniaセスジハウチワドリ
Tringa glareolaWood SandpiperタカブシギPhylloscopus collybitaEurasian Chiffchaffチフチャフ
Columba liviaRock Doveカワラバト/ドバトPasser domesticusHouse Sparrowイエスズメ
Streptopelia senegalensisLaughing DoveワライバトAmandava amandavaRed Avadavatベニスズメ
Ceryle rudisPied KingfisherヒメヤマセミCorvus coroneCarrion Crowハシボソガラス