CAIRO

 田から飛ぶこと14時間。成田発としては初の直行便ということだったが,やはり遠い。ツアーの旅程表には,13:55発,19:55着となっていたが,時差7時間プラス強い西風の分1時間を足して14時間。やや旧型のジャンボで座席は狭く,風邪引きの影響かお腹にガスが溜まって苦しいったらありゃしない……。

 現地時間午後8時48分,カイロ空港着。機内でも何度もトイレに行ったが,カイロ空港に降り立ってからも,ガイドの説明の合間にトイレに。ところが,国際空港と言ってもお世辞にもきれいとは言えないトイレ。今回も家族サービスで,この旅行にはあまり乗り気ではなかっただけに,先行きが危ぶまれるばかり。

 入国手続きを済ませてから,バスでホテルへ。ここで現地ガイドと警官がバスに乗り込む。1997年11月に起きた観光客58名死亡のテロ事件以来,観光バスには必ず警官が乗り込むことになっているそうだ。まだその心配があるのか(..;)。現地ガイドのほうは,なかなか流暢で丁寧な日本語を話すのでほっとしたが,どういうわけか,文末の「ます」が「まっさあ」になる。「○○の次は××にご案内しまっさあ。」という調子。見た目が伊達男であるだけに,なんともいえない違和感。その話を聞きながら暗い窓外に目をやると,かなりの交通量でここが都会であることが判るが,走っている車の大半が凸凹,しかもスモールランプだけ点灯させヘッドライトをつけずに高速で走っている。さらに,道路の真ん中に人が立っていたり,信号らしきものがほとんどないなど,交通の面でも異国情緒たっぷりである。


アラカルト

 カイロの夜明けは遅かった。1泊目のホテル,カタラクト・ピラミッド・リゾートの庭に朝の光が差し込んできたのは午前7時ごろ。東の空が曇っているのも災いしていた。

 リゾートと名前がついていても,ホテルの敷地内には林らしきものはない。それでも,建物の間にある植え込みに鳥が来るだろう,と予想していたのだが,最初に見たのはイエスズメだった。いくらでもいそうなイエスズメは,かなりの至近距離でも逃げないのだが,とにかく暗い。何とかそれと判る写真を撮ろうとしたが,手持ちでは難しい明るさだった。

 隣のコテージの屋根にいたのがワライバト。キジバトに少し似ているが,26cmと小さく,赤みを帯びている。キジバトを二回り小さくしたようで,ずっとかわいらしく感じる。

 植え込みで見つけたのは,チフチャフ。形も動きも日本で見るウグイスに似ているが,全長11cmとやはりひと回り以上小さく,声は明るい。

 

ハシボソガラス

 エスズメに次いで多かったのがハシボソガラスだった。

 これは,イタリアで見たものと同様に,黒と灰色のツートンカラーのカラスだ。大きさはハシボソ級だが,行動は日本のハシブトガラスに似ているかもしれない。秋ヶ瀬周辺では,ハシボソは農耕地,ハシブトは市街地でよく見られるが,ここエジプトではどちらにもいるし,ゴミあさりもしている。

 これがまた,近づいていっても逃げない。まあ,向こうからあえて人のいるホテルの庭先に降りてきたのだから,逃げなくても当然と言えるが……。

 そのほかに,ホテルの上空をコサギくらいのサギがたくさん飛んでいったが,種類まではわからなかった。また,変わった声も聞いたのだが,確かめる前に朝食となり,それからはピラミッド観光に向けての支度で,鳥を見ている暇はなくなってしまった。(本当はこっちを見ていたいのに……。)

DAHSHUR 〜 MEMPHIS

ダハシュールの遺跡 左から,ダハシュールの屈折ピラミッド,赤ピラミッド,メンフィスのスフィンクスとラムセス2世像。

 一応,家族サービス観光旅行らしきところを……。

イエスズメ ピラミッドの中に入った。これは貴重な体験なのだろうけれど,興味の対象が違うと……。特に腰をかがめての急階段の上り下りが辛い……。しかも内部はかなり温度が高い。狭いわ,暑いわでヘトヘトになって外に出ると,バスのそばにイエスズメが群れていた。

 このダハシュールの辺りは,軍関係の施設以外に建物はなく,いかにも「ここは砂漠です」といった感じがする。それなのに「イエスズメ」がいるとは……。

 鳥の周りに散らばっているものを見て,その理由が判った。黒くて丸いものは,ラクダの糞である。そのラクダは,警官が乗っているものだ。1997年のテロ事件以来,観光警察というような組織ができ,主な観光地や,観光客が立ち寄るところには,何人もの警官が詰めている。その警官の足がラクダなのだ。いつもいるわけだから,いつも糞がある。そして,それをあてにしてスズメが来るのだ。

 ところで,このスズメ達はもっと大きくとれたはずなのだが,警官に邪魔されてしまった。といっても,とがめられたのではなく,モデル料目当てに,警官がカメラの前に入ってくるのだ。

 「邪魔をしないでくれ!」と怒鳴りつけてやりたいところだが,アラビア語はわからないし,肩にかけたライフル銃に気をそがれてしまう。テロから守ってもらっている,ということもあり,「まあ。イエスズメはどこでも撮れるだろう。」とあきらめるしかないのだ。


イエスズメ ころが,警官よりさらに厄介なのが,物売り。観光客と見るや,すぐに寄ってくる。しかも,しつこい。Tシャツやらピラミッドの模型やら,品物を観光客の手に押しつけてくる。一度手にしてしまうとこれがまた面倒だ。売りに来るときは,「だんなさん,安いよ。」「6枚千円。」「ヤマモトヤマ(?)」などと,日本語で話しかけてくるが,品物を返そうとするとアラビア語になる。あとは向こうのペースである。

 メンフィス遺跡の中にはほとんど物売りの姿がなかったので,安心していた。そこで見つけたのがヤツガシラ。スフィンクスを見ていたら,目の前を2羽通りすぎていき,少し離れたフェンスの上にとまった。

 エジプトに来てからは初の大物だ。これは撮れる,と思って近づいたら……,近くにいた警官がフェンス沿いにやってきて,「こっちのラムセス2世像をとったらどうだ。」というような仕草をする。(もちろんアラビア語だが,これは雰囲気でわかった。)魂胆はわかっている。自分がモデルになるか,あるいは「シャッターを押してやるぞ。」といってサービス料を取るつもりだ。

 こちらはヤツガシラを指差して,「あれを撮っているんだから邪魔をしないでくれ。」と訴えるが,結局,ヤツガシラはさらに近づいた警官に飛ばされてしまった。


SAQQARA 〜 GIZA

ダハシュールの遺跡 左から,サッカラの階段ピラミッド,ギザのクフ王の大ピラミッド,スフィンクス,ラクダに乗った警官とカイロの街。

 鳥はハトしかいなかった。たまに空を飛んでいたのは,ビニル袋。

砂漠のキツネ? うそう。鳥ではないけれど,階段ピラミッドを撮っていたら,足下の遺跡の中を走っている動物がいた。あれっ?なんか変だぞ?と思って,そのとき着けていた24〜85mmレンズを望遠側いっぱいにして2コマ撮った。

 ピクセル原寸のまま切り取ってみたのが左の写真。見づらいけれど,このしっぽの長さはキツネだよね。しっぽの先も白いし……。

 「砂漠の狐」って,ロンメル将軍だっけ……。ちょっと古いな……。


エジプト雑感1
車事情 エジプトに対して持っていたイメージといえば,ピラミッド,スフィンクス,砂漠,オアシス,ラクダ,ナイル川……そんなところ。ところが,道路上の車の密度はなかなかのものだった。考えてみれば,カイロは人口1600万人の大都会。その暮らしを支えるにはラクダとロバだけでは間に合うわけがない。

 数だけでなく,その多様さにも驚く。最新型の車も走ってはいるが,20年前,30年前の車は当たり前というように,ぼろぼろの車が多い。特にタクシーはかなりガタが来ているようで,道端でボンネットを開けてとまっているのを度々見た。日本製の高級車はあまり見かけないが,ベンツ,BMWはそこそこ,シボレーやクライスラーも結構走っている。日本車で多いのは1BOXで,乗り合いタクシーに使われている。最近では価格面で割安な韓国の現代が人気があるらしい。

 さらに驚くのは,交通事情。最初に気づいたのは,暗くなってもヘッドライトを点灯する車が少ない。明るい街中だけでなく,郊外でもスモールランプだけ,もしくは無灯火で走っている。目が良いのだろうか。それから,うるさい。砂漠から来る静寂なイメージは簡単にぶち壊される。日本ではやたらにクラクションを鳴らすと道交法違反になるが,ここでは鳴らさない車はほとんどないだろう。前の車をどかすためにならす。合流するときに鳴らす。横断する歩行者に向けて鳴らす。そして,車の動きが途切れることがない。一晩中,ひっきりなしに走っている。

 それに加えて,場所によっては車と馬とロバと歩行者が入り乱れている。ちなみに,横断歩道はおろか信号もほとんど見かけない。そして,不思議なことに,まだ交通事故現場を見ていない。

・・・・・・次はアレキサンドリア・・・・・・