ABU SIMBEL

アブシンベル 左から,A300から見たナセル湖,アブ・シンベル大神殿,アブ・シンベル小神殿,切りかけのオベリスク(アスワン)。

 この日は,アフリカらしい貴重?な体験をした。

 の日は,エジプト国内だが空路で移動。午前4時30分のジェットに乗り,アスワン経由でスーダン国境に近いアブ・シンベルまで飛び,ラムセス2世の大神殿と第1王妃ネフェルタリのための小神殿を見る。その後,再び空路でアスワンに戻り,2ヶ所を見学してからホテルに入るという日程。


ハクセキレイ イロ空港からアスワン空港までは,2時間弱のフライト。しかし,早朝便しかないので,カイロのホテルを出るのは午前2時45分。(ちなみにモーニング?コールは午前1時30分!)ボックス・ランチではなくボックス・ブレックファストを受け取ってバスに乗り込む。

 ほぼ定刻にカイロ空港を出発したA300はアスワン空港に無事着陸,搭乗したまま30分ほど待ち,新たな乗客を乗せて再び離陸。アブ・シンベル空港への空路の半ばあたりで夜明けを迎える。何もない地平線から昇る朝日がまぶしい。今日はいい天気になりそうだ。

 アブ・シンベル空港からは乗り合いバスで神殿へ向かう。周辺の風景は砂と岩ばかりで,鳥見への不安は高まるが,ナセル湖の水辺では遠くて何かはわからないが水鳥が飛んでいる。神殿の駐車場に着くと期待は少し高まった。そこには,もちろん人工だろうが緑があった。これなら何かいそうだ。

 詳しく説明してくれる観光ガイドには悪いが,気持ちは別のところに向いている。説明が終わると,大神殿の4体の立像の写真を撮って,神殿の中に入る一行とは別行動をとった。駐車場から神殿までの道で,シルエットながら複数の鳥を見たからだ。

 地面にはそれらしき鳥はいなくなっていたが,代わりに見つけたのが,このウスチャイロツバメが遺跡の壁にとまっているところ。幸先はよい。

シロガシラクロサバクヒタキ雄 こではほかの鳥は見つからず,神殿の前に戻ってくると,目の前の低い壁の上に黒い鳥が飛んできた。シロガシラクロサバクヒタキだ。頭の上部が白いのは雄だ。

 とまったところはすぐ目の前だが,ちょっと躊躇してしまった。その下には警官が3人ほど詰めていたのだ。80〜400mmズームとはいえ,遺跡の観光にそんなレンズを持ってくる人間はほかにいないから,どうしても警官の注意を引きやすい。こっちをジロジロ見ている。何か言われるのは別に構わないが,鳥に近づいてもらっては困る。

 どうしようかと迷っているうちに,シロガシラクロサバクヒタキは飛んでしまったが,なんと,さらに近いところ,おそらく警官のために引いたのだろう,簡単な水道の下にある瓶の縁に降りたのだ。

 そこにある低木を回り込んで,順光状態で撮ろうとする。こちらとしてはかなり慎重に動いたのだが,杞憂。鳥はたくさん押し掛ける観光客で人間には慣れているらしく,逃げない。

 棚ぼたでゲット!

シロガシラクロサバクヒタキ雌 ると,その後で,頭の上まで黒い雌もやってきた。これも難なくゲット!

 それにしても,砂漠の砂色の中では,この鳥の色はかなり目立つ。どちらかといえば小さい鳥で,外敵にも襲われやすいと思うのだが,進化はなぜこんな色合いを選んだのか,不思議だ。目立たないことのメリットは身の安全,目立つことのメリットは繁殖と考えると,群れを作らない鳥だとしたら後者を選ぶのだろうか。

 シロガシラクロサバクヒタキの雄雌両方を撮ったことで,とりあえずひと安心。小神殿の前に移動して,写真を撮る。

 小神殿とはいえ,その大きさは「大」と比較して「小」となるだけであって,決して小さなものではない。奥さんのためにこんな大きなものを造らせてしまうのは,ラムセス2世の権力がいかに大きかったかを表していそうだ。しかも,ラムセス2世には7人の王妃と170人以上の子供がいたというから驚く。(170÷7=24.28・・・ではなくて,8号さん以下がいっぱいいたということ。)

 小神殿の近くには何本か木があって,地面にはワライバトが降りていたが,忍び足で近づく野良猫に邪魔をされた。エジプトでの鳥見の敵は,物売り,警官,野良犬に,野良猫も加わった。

シロガシラクロサバクヒタキ雌 れからは,二つの神殿の裏側に回ってみた。そちらには低いながらも並木があるので,鳥がいそうだった。初めに見つけた鳥は,小さなコンクリート製の小屋の垂直の壁にとまったのでゴジュウカラの仲間ではないかと思ったが,小屋の裏側から突然現れた観光客のために,何だかわからないうちに逃げられてしまった。(こんなところに来るなよ……。でも,ゴジュウカラの仲間はエジプトにはいないらしい。)

 次に現れたのはこれまでにも見ているチフチャフだったが,並木の裏のフェンスをくぐって向こう側に消えてしまった。がっかりしているところに,フェンスの下のコンクリート壁にぴょんと飛び出したのは,セスジハウチワドリ。顔立ちはセッカに似ているるが尾が異様に長い。(目は同じような色をしているが……。)このセスジハウチワドリは,あまりちょこまかと動かないので,数カット撮ることができた。その中で尾の長さが一番わかるのがこの写真。

 その後,神殿のほうに戻る途中で,最初に見た鳥の正体がわかった。カンムリヒバリだった。このヒバリは日本のヒバリと比べると背中が緑色がかっている。写真は1枚だけ撮ったが,首をぶるっと振ったところで,顔がまるでわからない失敗作。見た鳥は全部撮りたいと思っているのに……。

シロガシラクロサバクヒタキ雌 ブ・シンベル神殿を後にしたバスはアブシンベル空港へ。そこから空路でアスワンへ。

 と簡単に書いたが,これが実は大番狂わせ,いやよくあることなのかもしれないが,アブシンベル空港出発が3時間遅れた。「ちょっと遅れている」,「30分遅れる」,「もう30分」……。結局,10:25発の予定が,13:30になった。おかげで,その後の日程がきつかった。

 アスワン空港に3時間遅れで到着,バスでアスワンハイダムへ。アスワンハイダムの堤長は世界一とか。その中ほどに駐車場があって,その辺りには植え込みがある。そこでbulbulを見つけたが,残念ながら望遠レンズをつけていなかった。肩から提げたバッグの中には入っているのだが,交換できない事情があった。

 これまでの観光地には,どこにでも警官がいたが,ここではエジプト軍の兵士が監視していた。ガイドブックには,「アスワンハイダムが破壊工作に遭うとカイロの街が3mの深さで水没するので,軍の管轄になっている」と書いてあった。ビデオはもちろんのこと望遠レンズをつけたカメラもダメとのこと。君子危うきに近寄らず。(実際に監視の目は厳しく,駐車場からちょっと離れたら,「そこへは行っちゃいかん。」と兵士に注意された。無視するわけにはいかない雰囲気で。)

 アスワンハイダムの次は,「切りかけのオベリスク」へ。オベリスクは花崗岩の一枚岩から切り出すそうだが,途中で欠けてしまったので放棄したものらしい。そこではワライバトを撮っただけ。

ナイルに浮かファルーカ の日の宿泊地は,ナイル川に浮かぶ小島にある。そこへはファルーカ(faluca)という帆掛船で渡るのだが,風が弱くてなかなか進まない。そのおかげで鳥を見る余裕があったが,川岸には何種類かのサギ,バンがいて,ヤマセミらしき鳥が飛ぶのも見えた。翌朝の出発時刻はこれまでになく遅いので,朝に鳥見の時間がとれる。少し期待できそうだ。


エジプト雑感3
食事情 ぜいたく旅行ではないので,食事情がよいわけはない。それでもあえて書くと……。

 観光中の昼食や外での夕食は,ほとんど同じような食事。前菜,メイン,デザートのコースであった。この前菜は,パンとそれにはさむサラダやペーストが4〜6種類出てくると考えればよいが,お国変われば品変わるの言葉通り,味付けがかなり違う。全体的に辛いものが多い。やはり南の国。香辛料が効いている。それに生野菜だと水が心配ということもあって,初めのうちはちょっと手を出しにくかった。メインは肉料理,魚料理,ハト料理となるが,香辛料の違いか匂いが気になることがある。また,肉は硬めで,ハンバーグが出たときはぼそぼそしていた。(魚は生臭く,ハトは「どこを食べればいいんだ」といった感じ。)デザートは,果物が多いが,一番驚いたのは皿の上に小ぶりのバナナがそのまま乗っていたもの。「メロンです」といって出てきたのがスイカ(確かにウオーターメロンだが……)だったのにもちょっと驚いたが……。

 飲み物はミネラルウオーター,ノンアルコールビール,コーラ,スプライト,7アップ,オレンジジュース,グァバジュース,コーヒー,紅茶などだが,ミネラルウオーターはたいてい食事についてくるが,ほかは別腹い。値段は5LE(エジプトポンド,1LE=約30円)〜10LE。アルコール類は店によってはワインを置いているが,基本的にはイスラム世界なので,全くない場合もある。(日頃は晩酌もしない私にとってはどうでもいいが……。)ミネラルウオーターはペットボトルで,ほかの飲み物は缶のまま持ってくることが多い。そのほうが地元の水を混ぜていないのがわかって安心するからか?でも,無粋である。それよりも,コーヒーはネスカフェ,つまりインスタントコーヒーがほとんどというのが許せない。トルココーヒーはそうではないが,飲みにくい。カプチーノを頼んだが「これがカプチーノ?}と首を傾げることもあった。食後においしいコーヒーが飲みたかった……。

・・・・・・次はアスワン・・・・・・