King's Park

 ンガー湖から徒歩でリーダーヴィル駅に戻り,電車に乗ってパース駅に到着。そこからさらに歩いて,キングス・パークに向かう。日本なら9月の気候のはずだが,オゾン・ホールが空いているためか,日差しがきつい。朝から歩き回っているので,かなり足にきていた。繁華街を通り抜け,坂を下ってフリー・ウェイの橋を渡り,また坂を登る。モンガー湖を出てからほぼ1時間。キングス・パークの入口に着いたころにはヘトヘトになっていた。

 ず,公園の案内所で地図をもらう。すると,インターネットで見たのと同じ地図だった。地図を渡されたときに何が目的かを聞かれたので,「Splendid Fairywren」が見たいと言ったら, 「無理だからあきらめたほうがいい。もっと南の地方に行きなさい。」というようなことを言われた(のだと思う)。モンガー湖の紳士はいると言っていたのに……。とりあえず,ボタニック・ガーデン(Botanic Garden=植物園)を回ることにする。南の方へ行く時間などない。動けるのはあと数時間だ。

 園はきれいに整備されている。刈り込まれた芝も適度な弾力で,気持ちよさそうに寝転んでいる人がたくさんいる。案内所のそばの木からは,たくさんのオウムかインコの声が聞こえているが,姿は見えない。ツチスドリやカササギフエガラスが飛んでいるのも見える。昼を過ぎたとは言え,一応鳥は動いているようだ。

 初に写真が撮れたのは,ハイイロモズガラス(Grey Butcherbird:Cracticus torquatus)。カラス科,カラス亜科,モリツバメ属の鳥。モリツバメ属の鳥には,モリツバメやフエガラスも含まれる。そういえば,嘴が似ていなくもない。以前,オーストラリア北東部のポートダグラスで見たのは,全身が黒一色ののクロモズガラスだった。こちらは,黒,白,灰色と,グレースケール画像でも間に合いそうなシンプルだがシックな色彩。「Butcher=屠殺人」の名前はかわいそうに思える。

ハイイロモズガラスさえずるハイイロモズガラス

ツチスドリのカップル 際に探してみると,ボタニック・ガーデンの鳥は少なかった。雰囲気は良いところなので,やはり時間帯が悪いのだろう。かといって,朝からここに来ていたら,モンガー湖での感激はなかったのでしかたがない。

 人出も多かった。イースターが終わって人は少ないだろうとふんでいたが,子供連れがいっぱいで,日曜日の秋ヶ瀬よりうるさい。せっかく見つけたモモイロインコ(Galah:Cacatua roseicapilla)も逃がされてしまった。

 結局,ボタニック・ガーデンで撮れたのはハイイロモズガラスのほかは,このアカミミダレミツスイだけだった。もっとも,シャウトする瞬間(MouseOver)が撮れたのはよかった。

ワライカワセミ でごった返す庭園に見切りをつけ,北側に広がるブッシュに行ってみた。

 ッシュというのは,背の低い,明るい雑木林のようなところ。もちろん,下生えはしっかりある。しかし,日本の雑木林と比べるとはるかに明るい。

 ブッシュには遊歩道がついていて,歩きやすい。公園の中のブッシュだから当たり前と言えば当たり前だが……。と,目の前の薮から,大きな鳥が飛んで逃げていった。そう遠くない枝にとまったのは,ワライカワセミ(Laughing Kookaburra:Dacelo novaeguineae)だった。

 10年前のシドニーでは,郊外の牧場のような開けたところの太い横枝にとまっているのをよく見たので,今回,市内観光中のバスやピナクルス・ツアーの四輪駆動車の中から,どこかにワライカワセミがいないかと見ていたのだが,まったく見つからなかった。だから,ここで見られたのはとてもうれしかった。

尾を上げるワライカワセミ ライカワセミは,いつも上の写真のようなスタイルで枝にとまっているのかと思っていたら,左のように尾を上げることもあるのだとわかった。だいぶ印象が変わる。

 余談だが,オーストラリアの土産物屋に入ると,オーストラリアを代表する動物のぬいぐるみが置いてあるが,コアラ,カンガルー,カモノハシ(ここまでが御三家か),ウォンバット(最近増えたようで,これで四天王か)などに交じって,ワライカワセミが鳥の代表として頑張っている。しかし,そのワライカワセミはほとんどアオバネワライカワセミで,ワライカワセミは非常に少ない。実物を見ると,本家ワライカワセミのほうがずっとチャーミングだと思うのだが,ぬいぐるみにしたときにはカラフルなアオバネのほうが受けるようだ。

ハイイロオウギビタキ ライカワセミの数は予想外に多かったが,このハイイロオウギビタキ(Grey Fantail:Rhipidura fuliginosa)もたくさんいた。

 このfantailは,今回の旅行では初めて見た。それまで目にしなかったのは,林に入らなかったからだろう。

 ヨコフリオウギビタキは,枝や杭にもとまるが,地面に降りていることが多い。だがらWagtailの名前がついてしまったのだろうが,このハイイロオウギビタキは,見ている間は一度も地面に降りなかった。

 また,季節によるものかもしれないが,前に見たときに比べると,林の奥にどんどん逃げていってしまうことはなく,ほぼ予想した枝に戻ってきた。

 の2枚の写真に写っている鳥が,同じ種の雌雄だとわかったのは,家に帰ってからだった。特に,右の写真は実際は遠くで写したのと,顔の向きが悪いので,よけいにわからなかった。鳥の名前は,アカハラモズヒタキ(Rufous Whistler:Pachycephala rufiventris)。左が♀で,おそらく若鳥。右は♂で成鳥だろう。

 ♀は下面の縦斑でエゾビタキの雰囲気があり,ヒタキ科の鳥のように見える。♂はどう見てもシジュウカラ科だ。しかし,この鳥,資料によると,カラス科,モズヒタキ亜科,モズヒタキ族となっていて,ヒタキでもカラでもなかった。わかるわけがない。

アカハラモズヒタキ♀アカハラモズヒタキ♂

ーカリの花に集まっていたのが,ホオジロキバネミツスイ(White-cheeked Honeyeater:Phylidonyris nigra)というHoneyeater。動きが素早くて,撮るのに苦労した。

 右は,コモントゲハシムシクイ(Yellow-rumped Thornbill:Acanthiza chrysorrhoa)。

ホオジロキバネミツスイコモントゲハシムシクイ

ッシュの中から,長くて青い尾を持ったミソサザイが現れた。図鑑に書かれている生息域からすると,一番見たかったムラサキオーストラリアムシクイ(Splendid Fairywren:Malurus splendens)の♀だろう。やはり,いたのだ。その姿を求めて,同じコースを3往復もした。しかし,写真は撮れなかった。それが,一番の心残り。

 ろそろ陽が傾き始め,ブッシュの中は薄暗くなってきた。後ろ髪を引かれながらの帰り道,ワライカワセミが鳴き始めた。最初はヒグラシのような声。次第に,笑い声のようなケケケケケという声に変わっていった。それにつられるように,いくつもの笑い声が私を包んだ。子供のころに「ワライカワセミに話すなよ」(NHK・みんなのうた)という歌を歌ったのを覚えているが,なるほど,これがそうだったのかと40数年の歳月を経て納得。

芝生の上のタテガミガン 生の公園に戻ると,上空をたくさんの黒いオウムがけたたましく鳴きながら飛び回っていた。オジロクロオウム(Long-billed Black-Cockatoo:Calyptorhynchus baudinii)の群れだが,ずっと飛び回っていて,これも写真はなし。

 う少し粘っていたかったが,空港へのバスの集合時刻まであと2時間ほど。遅れるわけにはいかないので,ホテルに向かうことにした。

 き始めてすぐ,芝生の緩斜面にたくさんの鳥が降りているのを見つけた。タテガミガンだ。市街地の外れにある公園に,野生のガンが群れている。オーストラリアの自然の懐の深さを感じながら,最後のシャッターを切った。

・・・・・・次はまとめ・・・・・・