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はじめに| 必要な物は?| いつ、どこに行けばいいの?| こころがけたいこと


  1. はじめに
     「バードウォッチングって、どこが面白いの?」
     周りの人にそう聞かれると、私は答えに窮してしまいます。面白いからやっているのだけれど、どこがと言われると何と答えていいのか自分でもよくわかりません。
     フィールドで出会うウォッチャーにも、色々なタイプの人がいます。とにかくたくさんの鳥を見るために、北は北海道から、南は沖縄まで、飛び回っている人。他の場所にはほとんど行かず、休みとなれば自分のホームグラウンドに入り浸っている人。写真を撮る人。ビデオを回す人。ただ鳥がいればそれで満足する人。一日中歩き回る人。ずっと一個所にとどまって、鳥の来るのを待つ人。えさを撒く人。巣箱をかける人。木を植える人……。
    キビタキアニメ かくいう私は写真を撮る人の中に入るのですが、もし写真を撮っていなかったら、今まで見続けていたかどうか。
     私の場合、鳥を見るようになったきっかけは、湖での釣りの最中に背中から私を見つめていたキビタキに出会ったことでした。薄暗い林の緑に浮かんだ黄色い胸にしばし釣りを忘れて見とれてしまいました。それからというもの、釣りをしながら気配を感じると振り向くようになりましたが、それまで気づかなかったのが不思議なくらいたくさんの鳥が私のそばに来ていたのです。枝でサーカスをするヤマガラやコガラ、太い木の枝に止まっていたヤマセミ。アカゲラやアオゲラのドラミング。未明の湖に響くトラツグミの声。5月の末にアカショウビンの声を聞いたときには、完全に釣りを忘れて探し回っていました。
     それからは、釣りに行くときには必ず双眼鏡を持つことにしました。そのうちに望遠レンズを買ってカメラも持っていくようになり、今では鳥を見るほうがメインになってしまいました。
     でも、見るだけでは物足りない私は、必ずカメラを持ち歩きます。たくさんの鳥を見たいという気持ちもありますが、「いいな!」と思った鳥のポーズを写真に収められればそれで一応満足できるのです。言ってみれば「フォトハンティング」です。もともと、釣りを趣味としていて、生き物を自分の手中に収めたいという欲求がありましたから、その延長線上で鳥の写真を撮っているのかもしれません。もっとも、釣りの場合は魚の口に針をかけるわけですから、どうしても魚にダメージを与えてしまいます。鳥の場合はそれに比べれば直接的な影響は少ないのですけれど。
     人それぞれ、色々な形で楽しんでいます。ということは、面白いから見ているとしか言いようがないのかもしれません。


  2. 必要な物は?
    • 双眼鏡双眼鏡
      • 7~10倍のできるだけ対物レンズの径の大きいもの。また、なるべく視野の広いもの。倍率が高すぎると手ぶれを起こしやすく、レンズ径が同じなら、倍率の低いものに比べて暗くなって見づらくなります。信頼できるメーカーのものが見やすく、目のためにもいいです。
        双眼鏡にはポロプリズムタイプとダハプリズムタイプの2タイプがあり、どちらでも構いませんが、焦点調節はCF(センターフォーカス)方式でないとバードウォッチングには向きません。できたら、突然の雨でも慌てずにすむように、防水(防滴)構造のものがよいと思います。

        スコープ
      • フィールドスコープやスポッティングスコープと呼ばれる望遠鏡は、水鳥など遠くの鳥を見るのに有効。ただし、動きの素早い鳥を見たり、林の中で観察したりするには向きません。使用する場合は、三脚が必要。

    • 図鑑
      • 図鑑には図版のものと写真のものがあります。
        家庭で見て楽しむには写真の図鑑もよいのですが、フィールドで使うとなると、判別のために使うわけですから図解してあるものの方が断然役立ちます。
        日本野鳥の会発行の図鑑「フィールドガイド日本の野鳥」がポピュラーです。

    • ノート・筆記用具
      • 鳥を見るだけでいいというのなら必要ありませんが、やはり記録は残しておきたいもの。大きめの手帳サイズで薄手のものが便利。筆記用具は鉛筆がよいとされています。
        記入する内容は、観察日・観察時間・天候・観察地・観察種・メモ・略図などですが、その場で判別できない鳥の特徴なども書いておくと後で調べるときに役立ちます。いろいろなことを書くことを考えると、罫線が引いてあるだけのものが使いやすいようです。

    • 服装
      • 基本は長そで、長ズボン。日よけ、防虫対策、けがの予防のため。派手な色彩(特に明るい色)のものは避ける。

      • 靴はスニーカーで十分ですが、雨後や、林の中や畦道を歩く場合は長靴が無難です。

      • 帽子はかぶったほうがいいでしょう。日よけはもちろんですが、林の中では上から木の枝などが落ちてくることがあります。
        太い枝ではかぶっていようがいまいが関係ありませんが……。

    • 持ち物
      • 夏場は虫よけの薬を用意したほうがいいでしょう。
        林の中(特に湿った林)は、虫の天国。やぶ蚊に刺されては探鳥意欲も失せてしまいます。虫刺されの薬もあったほうがいいですね。

      • 雨具もお忘れなく。
        平地の公園などでしたら折り畳み傘でも十分ですが、山歩きや長時間歩くときなどはレインコートやポンチョを用意しておきましょう。また、大きめのポリ袋も持っていると、何かと重宝します。(雨具の代わりになることも)

      • 持ち物を入れるバッグは、デイパックかショルダーバッグが良いでしょう。
        ショルダーバッグの場合は、物がすぐ取り出せて便利ですが、大きすぎるものや硬いものは歩くときにじゃまになります。体の側面にフィットする柔らかめのものがよさそうです。


  3. いつ、どこに行けばいいの?
    左から、岩手・秋田・埼玉
     基本的には、鳥はどこにでもいます。東京のような大都市の真ん中でも、少し緑が残っているような場所では、鳥はしっかり生活しています。ただ、種類はそう多くはありません。効率良く鳥を見ようと思ったら、やはりガイドブックを参考にするのが良いでしょう。全国のガイドは日本野鳥の会から出ていますし、野鳥の会の各県支部や地方の新聞社が発行している地元の探鳥ガイドがあるかもしれません。その中から、自宅から近く、気軽に出かけられるところを探しましょう。

     しかし、鳥はいつでもいるというわけではありません。もちろん、スズメやカラスは一年中見られますが、スズメとカラスだけ見て満足できる人はそうはいないでしょう。いる時期にいる場所に行くというのが探鳥を楽しくするポイントのひとつです。

    • 鳥を見つけやすいのは冬!

       地域によって異なりますが、関東周辺で一番鳥を見やすいのは冬です。私も鳥を見始めたころは意外に思ったのですが、寒いから鳥が少ないということはありません。鳥は自分に適した場所にいます。そこが適温だからいるとも言えます。暖冬だとかえって見られなくなる鳥もいます。

       冬はえさのある場所が限られるので、鳥が集まります。そのうえ、草が枯れたり木の葉が落ちたりして鳥の姿が見やすくなるのです。

       冬に見られる鳥の代表は、ガンカモ科の鳥です。湖沼や河川、港湾とその周辺の水田が適地です。サギの仲間も一緒に見られます。

       平地や低山の林も、鳥が多く見られます。ツグミの仲間やアトリ科の鳥が訪れます。ワシ・タカなどの猛禽も見やすくなります。

    • 春と秋の渡りの時期も面白い!

       春は繁殖場所を目指して南国から北方へ移動する鳥が、秋は寒さを避けてその反対に移動する鳥が、春は4〜6月、秋は9〜11月にかけて日本列島を縦断していきます。普段は見られない鳥やたくさんの種類の鳥を見るには、この時期が最適です。

       普段はスズメやカラスぐらいしか見られない低地の公園で、キビタキやオオルリが観察できるのも、このころです。また、日本海側の離島では、渡っていく鳥をまとめて見ることができます。珍鳥や迷鳥が現れることもあります。

       渡りの鳥の代表ともいえるシギやチドリの仲間も、この時期に干潟か水田に行くとたくさん見られます。

       春と秋の渡りを比べると、春は集中的、秋は散漫という感じです。また、春と秋とでは訪れる鳥の種類も多少異なってきます。

    • 夏は鳥を見るにはあまり適さない季節です。

       木々の葉が繁って見づらくなることもありますが、繁殖期を終えると、鳥は姿を見せることが少なくなるようです。鳥がいなくなるわけではないので、ねらいを絞って観察する必要があります。山に入ってオオルリやキビタキ、さらに高い山でルリビタキやカヤクグリ、イワヒバリ、ホシガラスなどを探すのもひとつの手です。もっとも、8月も中旬を過ぎると、秋の始まりといってもよく、渡りの鳥が平地にちらほらと姿を見せ始めます。

    どんな鳥がいつごろ見られるかの一例として、
    秋ヶ瀬周辺で見られる鳥を参考にしてください。


  4. こころがけたいこと
     言ってみれば、バードウォッチングは一種ののぞきです。野生の鳥の生活をのぞき見させてもらうわけですから、鳥に対するそれなりの配慮が必要です。

    • 鳥をおびえさせない
       野原や林の中を歩いていくと、突然飛び出した鳥が逃げていくことがあります。こちらもびっくりするのですが、鳥はそれ以上に驚いたはずです。ただ、鳥にとって逃げるのは自然の行動で、人間だけでなく、猛禽や犬が近づけばやはり逃げるのです。
       鳥の気持ちがわかるわけではありませんが、鳥がおびえたように見えるのは追い詰められたときです。例えば建物に闖入してしまった鳥は、時に人間が近づいても逃げないことがあります。その時の表情はおどおどしていて、やはりおびえたように見えます。一度逃げた鳥を追いかけて、それまでいた地域から外へ飛ばしてしまうような場合はやはりおびえさせたといってもいいでしょう。
       また、一番気をつけなければならないのは、繁殖期の鳥です。巣に近づき過ぎた場合など、放棄してしまう場合もあります。大切な繁殖の妨げにならないよう心したいものです。

    • 鳥の生活環境を壊さない
       特に写真を撮ろうとしている場合、目の前にある木の枝や草がとてもじゃまになることがあります。脇へ寄せるだけならよいのですが、夢中になっていて折ってしまう人もいるようです。目隠しになっていた背の高い草を折ってしまったがために鳥が訪れなくなったお立ち台(鳥が決まって止まる場所)もあります。
      鳥が好きで来ているのに、その鳥がいなくなってしまうような行為は自分の首を締めているのと同じです。
       また、多くはありませんが、フィールドにフィルムの箱などのごみを落としていく人もいます。たばこの吸い殻を足でもみ消してそのままというウォッチャーはけっこういるものです。私もたばこをやめられない口ですが、吸殻入れを携行し、もし忘れたら何かに包んでポケットに入れるようにしています。
       それから、足下にも十分気をつけたいものです。必要以上に草地に入り込むことも控えたいものです。鳥を見るためなら植物を傷めてよいということはありませんから。

    • 事故を起こさない
       交通事故に気をつけることはもちろんですが、比較的安全そうなバードウォッチングでも危険に直面することはあります。
       まず、足下には十分注意すること。上の鳥ばかりが気になって、足下を見ないで動くのはとても危険です。滑落、踏み抜き、転倒など、大きな怪我に繋がります。
       あちこちのフィールドに「マムシに注意!」という看板が立っていることがあります。水気のある緩斜面などはマムシが大好きなところです。南西諸島ではこれがハブになりますが、噛まれれば命に関わります。草地に踏み込まないのが一番。
       ハチにも注意が必要です。自然の中に入っていくのですからスズメバチとの出逢いは頻繁にあります。時には体にまとわりつかれることもありますが、大騒ぎをしてはいけません。手で振り払おうとしたり、大声を出して走り回ったりするのは、どうぞ刺してくださいと言っているようなものです。そんなときは慌てずにゆっくりしゃがみこむことです。姿勢を低くしているとスズメバチはやがて去っていきます。ただし、スズメバチがカチカチと顎を鳴らしているときは別です。これはスズメバチの巣が近くにあって、「これ以上は近づくな」という威嚇行動ですから猶予はありません。これまた慌てずに、来た方向へそっと戻ることです。スズメバチ自身が危険と感じなければ刺すことはないでしょう。
       ハチ以外にも危険な虫はたくさんいます。湿った山中にはヤマビルがいる可能性があります。 ドクガの幼虫やイラガの幼虫は木の葉にいます。河川敷の葦原にはツツガムシがいるかもしれません。これらは虫除けの薬を塗っても対処できません。君子危うきに近寄らず。危なそうな所には行かないのが一番かも。
    ……自戒を込めて

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